私の二人の神様へ
お邪魔さま
「……榊田君。何故、あなたが家に?」
起きて、掃除をし、それから買い物し、戻ったら榊田君がドアの前にいた。
「せっかくだから、俺も招かれることにした」
「……私、榊田君のこと招待したっけ?」
「二週間前にしただろ?とにかく、早く鍵寄越せ」
いくら残暑と言えども、榊田君には過酷なようで不快な顔をしていたから、私はアイスティーを出した。
そして、床に腰を下ろそうとしたら、
「朝飯の残りと卵焼き」
行儀悪く、アイスティーを持たずにストローをくわえながら言う榊田君にため息を一つこぼしながら、キッチンへと向かった。
榊田君に食事を差し出してから、私は夕食作りにとりかかった。
肉じゃがは味が染み込んでいたほうがおいしいし、いつ榊田君の横槍が入るかわからないから、早く準備するに越したことはない。
榊田君は用意した食事を平らげると、食器を洗い、私に夕飯のおかずを聞くと、また部屋に戻っていった。
こっそり覗いてみたら、寝そべりながら、私の経済学の教科書を読んでいた。
私としては、むしろ、その右下にある少女マンガを読んでいて欲しかった。
とりあえず、大人しくしているのを確認してから、また作業に戻る。
元より、今日の夕食を榊田君に持って行こうと思って材料は多く買ってきたから問題はない。
仁くんも榊田君も人の二倍か三倍を食べるから、お鍋もフライパンも溢れんばかりになった。
後片付けぐらいは手伝うと、タイミング良く姿を現した榊田君に使った道具を洗ってもらい、下準備は終わり。
仁くんが来たら天ぷらを揚げればと達成感を味わいながら伸びをしている私の横で、冷蔵庫の前でしゃがみ込む榊田君。