私の二人の神様へ
さっきまで、萎縮していた私はどこかに消え去った。
宣戦布告はこれで五回目。
四回は確か、一年の頃だった。
それ以降なくなっていたが、五回目が超大物。
こう宣戦布告してくる人物は、榊田君に言い寄る女の子の中でも美人の中の美人。
自分に自信がなければこんなことはできない。
相手の目的は牽制。
そして、私はこんなことを言われて黙っていられる性分ではない。
彼女は私が怯え尻込みするのを期待し、こんなこと言うのだろうが、私は生憎そんな殊勝な性格じゃない。
偽彼女だろうと、何だろうと、売られた喧嘩は買ってしまうのだ。
私はにっこり笑顔を朔ちゃんから彼女へと向けた。
「それは榊田君が決めることです。彼が万が一、紗希さんを選ぶなら私は何も言いません。万が一にもね」
初めて宣戦布告された時も売られた喧嘩を買って、大口を叩いた。
後になって、ここまで強気な発言をして榊田君があっさりその子と付き合ったら赤っ恥ものだと気づき、付き合いたい子がいたら私にいち早く言うようにかなりしつこく念を押した。
まさか、榊田君が私のことを好きだったとは夢にも思わなかった頃の話だ。