私の二人の神様へ
頭を優しく撫でられ抱き込むように抱えられると、ドキドキと安心感が交差する。
「思わない」
「嘘!仁くんが来るのを忘れて、榊田君を誘っ……」
「好きなやつを求めるのは当たり前だぞ」
いきなり芽生えた自分の感情にひどく狼狽する。
「う~。でも、突然で私自身も良くわからないぃ~」
鼻をすすりながら、榊田君にしがみつく。
「確かに突然だったな。だが、それでも遅い」
ぶすっとした榊田君の声が可愛くて自然と小さく笑みがこぼれた。
こんなことで、機嫌が戻ってしまうのだから、本当に私は榊田君に夢中なんだと改めて思う。
もしかしたら、気づかなかっただけで、徐々に育っていたのかもしれない。
彼と過ごす時間の中で思いが膨らんでいった。
蕾だった花がやがて開花するように。
それにしても、仁くんが来る時というのは、タイミングが悪い。
「あ、明日、道場の後、予定ある?」
もう一度、鼻をすすってから尋ねる。
「泊まりに来るか?」
そっけない言葉に私がこくりと頷くと、榊田君はゆっくりと顔を近付けて来たから、目を閉じる。
鼻先が触れ合ったところで、チャイムの音。
ばっ、とものすごい早さで榊田君の肩を押し返す。