私の二人の神様へ
チャイムの音が耳の中に鳴り響き、心臓がバクバクと音を立てている。
「……今日の仁は疫病神というよりお邪魔虫だな」
私とは対照的に榊田君は平然としている。
いつものことながら感心、いや、憎たらしい。
榊田君はベッドからひょいっと立ち上がると、ドアへと歩きながら言った。
「俺が時間稼いでやるから。服直せ」
そう言われて自分の今の格好を思い出して、頭から湯気が出た。
上半身は服がずれ落ちているし、スカートは捲れあがっているしで瞬間的に胸元に服をかき寄せた。
榊田君がそうしたのに、と半ば八つ当たりをしながら身だしなみを整えようとする。
だが、手が震えてボタンはなかなか留まらないし。
いざ、ベッドから立ち上がろうとすると力が入らないしで、焦るばかり。
何とか鏡の前にいくと榊田君に解かれた髪は乱れていたが、それよりも自分の表情に驚いた。
こんな物欲しそうな顔をしているなんて、榊田君に引かれたのではないだろうか、と不安になる。
本当に私はどうしてしまったのだろう?
とにかく、服と髪を直して慌ててドアを開けた。
「小春!何で榊田がいるんだ!?」
榊田君を指差した仁くんは眉がつり上がっていた。
「恋人の家にいて何が悪い?妻子持ちのくせに水野の家に上がり込むお前は何なんだ?」
「はっ……相変わらず小さい男だな。小春。こんなわからず屋とは早々に手を切ったほうが良い」
仁くんは鼻で笑うと、榊田君もせせら笑う。
「自分の常識のなさを棚に上げて随分偉そうだな」
「榊田君。自分の偉そうな態度を棚に上げちゃダメだよ?」