私の二人の神様へ
天ぷらを順番に揚げながら、セッティングされたテーブルに置いていくと、すごい勢いでなくなっていく。
二人とも喧嘩もせずにひたすら食べている。
せっかく飾った花が二人の食欲に霞んで見えた。
とにかく気を取り直し、最後にかき揚げを皿に盛り付け、私も座り食べ始める。
「どれもおいしい。絶品だ。小春の分まで食べそうになる」
榊田君も珍しく仁くんに同調して、うんうんと頷く。
あいにく彼は食べるのを中断して言葉を発する気はないようだが。
大好きな二人が私の料理をおいしいと、食べてくれる。
これほど嬉しいことはない。
食べている間は喧嘩をしないし。
榊田君が洗いものをしている中、仁くんと心置きなく話す。
じゃんけんに負けた瞬間の榊田君の顔はなかなか見物だった。
たかがじゃんけんに負けただけなのに自分の手のひらを見つめ呆然としていた。
かたや、仁くんはたかがじゃんけんに勝っただけなのに胸をそらせ高笑いしているし。
じゃんけんでも何でもお互いに負けるのは許せないらしい。
「じゃんけんが強いやつは馬鹿なんだ」
そんな負け惜しみを吐きながら榊田君がキッチンへと退場していったことで、私は仁くんとのまったりとした時間を過ごすことが可能になった。
仁くんは笑う時に少し俯く。
それが彼の品の良さを一層際立たせて、昔からずっと大好きだった。
そんな変わらないしぐさを見ているだけで、心が温かくなるのは今も変わりない。