私の二人の神様へ
妙な使命感はその後も持続し、店員さんオススメのランジェリーをいくつか手に入れた。
それでも冷めない使命感のまま、これまた可愛らしい部屋着も手中に収めた。
都心の人混みも何のその!
戦利品を手に入れた私はほくほく顔で帰還した。
時間は午後四時。
ふうっ、とベッドに寄りかかりオレンジジュースを一口飲んだところでシンデレラタイム……
いや、使命感が消え失せ、現実を思い出した。
そう、私は何のために色香を求めて旅に出たのかをすっかり忘れていた。
身体を魅力的に見せるランジェリーもシルエットを綺麗に見せる部屋着も榊田君に見せるため……
手段と目的を履き違えたとは、まさにこのこと。
ど、どうしよう。
いや。
しっかり準備はできている。
心の準備以外は。
「いや、いや!わ、わた、わたしは断じて嫌なわけでは!」
頭を抱え叫んだ。
嫌ではないなら何の問題もないではないか、そう言い聞かせる。
そう、私は榊田君のことが大好きだ。
好きで好きで仕方がない。
だから、問題はない。
でも。
「……やっぱり嫌とか言ったら、また軽蔑されちゃうかなぁ……あ゛~!だから私は嫌なわけでは!!」
煮え切らない私は道場に遅刻寸前まで頭を抱え発狂していた。
「やい!小春。俊のやつ、男を誑かしてるぞ!」
「小春とは大違いだぜ!」
私は悪ガキの頭を掴み、その頭同士をぶつけた。
痛てっ!と頭を抱える悪ガキに私はお決まりの説教をする。
「年上を呼び捨てにするんじゃありません!」
「暴力女!そんなんだから俊が男に走るんだ」
悪ガキの指先を辿ると、榊田君が気味悪そうに組み手の相手から一歩引いている。