私の二人の神様へ
「ガキみたいで、まったく食指が動かされない。つまんなさそうだ」
「…………」
「風呂あがるまで待ってただけありがたく思え」
言いたいことは言ったと言わんばかりに、榊田君は布団をかぶった……
いや、かぶろうとしたが、私が電気リモコンを投げつけたことで断念。
「……なっ、な、に、何、それ……そ、そんな風にい、言わなくた、って、お前みたいな、って……」
あまりの物言いに、身体中が小刻みに震えた。
お前みたいな。
そんな風に榊田君も思っていたのだろうか?
『榊田君も水野さんみたいな子と付き合うなんて変わってるよね』
ずっと、それこそ一年の頃から言われ続けた。
イジメとか妬みとかではなく、ただ感想を述べたかのように、色んなところで。
女の子だけでなく男の子だって、言っていた。
悪意がないからこそ傷ついた、それが世間一般の考えだとわかっていても。
そんな言われ続けた言葉を榊田君にまで言われるなんて。
「悪かった。今のは言葉のあやだ」
私のかすれた声に榊田君はバツが悪そうに取り繕ったが、それが悲しみより怒りを呼び起こした。
「び、美人じゃないのも、い、色気がないのも、子供っぽいのもわかってるっ!だ、だから少しでも、って似合う下着をいっぱい探したわ!」
クーラーリモコン。
テレビリモコン。
DVDリモコン。
次々に榊田君に向かって投げる。
そのたびにドコンっと壁に激突。
そして、そのたびにカバーが外れ、電池が散らばる。
「わかったから落ち着け!」
リモコンをさらりとかわすなんて。
こういう時は素直にリモコンで頭を打ち付けるべきだ。
そうすれば、私の溜飲も少しは収まる……かもしれない。