私の二人の神様へ
最終章
あらら、こらら
「小春。考え直せ。いや、頼むから考え直してくれ。お願いだ」
こんな仁くんはじめて見た。
もう、眉がへにょんとなり、目には涙が浮かんでいる。
「あかり。お前の親父は往生際が悪いな。ああいう大人にはなるなよ」
きゃっ、きゃっ、とあかりちゃんは榊田君に抱っこされ喜んでいる。
そんなあかりちゃんの背中を優しく撫でる榊田君。
本当に榊田君はいつからこんなにも子煩悩になったのだろうか。
「あ、あんな、やつと、ど、ど、どっ……」
仁くんはどもりにどもっている。
でも、私の肩をがっしり掴んで離さない。
そんな仁くんの言葉を榊田君が請合う。
「恋人同士が一緒に住んで何が悪い。外野は引っ込んでろ」
「悪いに決まってるっ!学生だろ。立場を弁えろ!」
そう。
私は榊田君の家で一緒に暮らし始めた。
最初は、そういうのは良くないと突っぱねていたが。
『卒業までの時間を少しでも長く水野と過ごしたい。お前は違うのか?』
真剣な目で見つめられてつい、一緒にいたい、と言ってしまった。
なら一緒に住むぞ、と私の家の生活必需品はあっという間に榊田君によって運び出された。
それから、親に申し訳ないと思いつつも榊田君と一緒に暮らしている。