私の二人の神様へ



 彼を繋ぎとめる資格はない。


 私が彼の想いに応えなかったから、こうなる。


 後悔はない。


 仁くんへの恋が終わっていないのに、他の人と付き合うなんてできない。


 だけど、勝手な私は泣きたくなる。


 榊田君の発言はいつもの榊田君そのもの。


 真実そのもの。


 こんな彼に対して、失礼ね、と憤慨するのがいつもの私。



「本当に、失礼しちゃう!そこは嘘でも私のほうが素敵だ、って言ってよね!」



 心変わりした?


 それなら早く言って欲しい。


 私だって、彼の気持ちに応えられないのに、こんな風に甘えていてはいけないとわかっている。


 そろそろ、この関係もやめるべきだ。


 紗希さんのことを抜きにしても。



「俺は嘘は言わない、それが世間一般の感覚だ」



 わかってる。


 そんなことは。


 こんな私では繋ぎとめることはできないって。


 傷つくことさえ、私には許されない。


 彼も床からベッドに、私の隣に腰を下ろし、でも、といつも通りのそっけない声で呟いた。
























「俺は顔も料理も性格も水野のほうが好きだぞ。俺が評価してるんだから、他の男百人分の評価に匹敵するだろ?」



 瞬きをパチパチとする。


 意表を突かれて、言葉が出ない。


 言葉が出ない代わりに涙が出る。


 目の淵にじわりと。



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