私の二人の神様へ
「あっ、あっ、あぁ~!!わ、私のプリン!!」
突然の悲鳴。
顔を上げると、入り口に友人である小夜ちゃんの姿が。
ショックが大きかったのか、そのまま小夜ちゃんはよろけるように壁にもたれた。
「こ、小春ちゃん!ひどい!」
私は瞬間的にプリンの蓋を榊田君から奪い取った。
そこには『榊田君はプリン食べるべからず』と書かれてあった。
「榊田君!私を騙したわね!!」
何て言う浅はかな私。
あの笑みの裏を読めなかったなんて。
悔しさで先ほどより身体が熱くなる。
だが、その怒りを向けられた本人は、
「瀬戸。最初に食べたのは水野だ。俺は水野の残り物を食ってるに過ぎない」
私と小夜ちゃんが言葉を発せずにいる中、パクパクとあっという間に食べ終え、カップをごみ箱に放った。
「……これでも私と榊田君は仲が良いって思う?」
それに対し、みんなが大きく首を縦に振った。
「私の価値観とまるっきり違うみたい」
これを仲良しと判断する人間の相手をしている暇は私にはない。
小夜ちゃんはぷるぷると身体を小さく揺らし、潤んだ目で私と榊田君を睨みつけている。
もちろん、私の怒りは榊田君に向けられた。
「榊田君。今晩のおかずから卵焼きが消えたわ」
彼が一番堪えるのはこれだ。
食い意地が張っているから。
不届き者には制裁を加えなければ。
案の定、彼は大きく目を見開いた。
「おい。お前、卑怯だぞ!?」
「乙女を三人も泣かせたんだから当然よ!!」
私は榊田君をキッと睨みつけ、小夜ちゃんとの友情回復に努めなければならなかった。