私の二人の神様へ
「朔ちゃん、どうしたの?」
ちょうど掃除にひと段落ついた頃、チャイム音がしてドアを開けると朔ちゃんがいた。
絡なしに遊びに来るなんて珍しい。
「榊田は?」
「え?今日は紗希さんの家で追い込みだって。夕食までには終わるって言ってたけどどうかな?朔ちゃんも一緒に食べようよ!」
私がにっこり笑顔で言うと、朔ちゃんは私の額をデコピンした。
あまりの痛さに、額を押さえて涙目で睨みつける。
「あんた!本当に何、送り出してんのよ!?馬鹿っじゃないの!」
相当お冠らしく、顔が鬼みたいだ。
だから、溜飲を鎮めようと、榊田君が紗希さんの家に行った理由を説明した。
これで鎮まると思っていた怒りがさらに膨れ上がり、怒号を聞くハメになった。
「あ、あ、あんた。どんだけ馬鹿なの!?榊田ならそんなの前もってわかってるんだから平日に済ませておくに決まってるでしょ!?」
「でも、パワーポイントって私も最後に一気に作成するけどな」
朔ちゃんの顔が鬼の形相が閻魔大王の形相に近づいて来ている。
髪を振り乱し、地を這うような声を絞り出す、朔ちゃん。
「それにしたって、二人きりにならないようにパソコンを持って来てもらうなり、他のやつを連れて来るなりするでしょ!?」
何と恐ろしい重低音。
私は、その空間を和らげようと、努めて脳天気に笑って見せた。