私の二人の神様へ
「榊田君は面倒くさがりだから、そんなことしないでしょ?わざわざ、そんな手間かけるなんて」
その返答に、怒りのチョップが三度私の脳天に振り下ろされた。
容赦ないチョップと閻魔大王の迫力に私にはひれ伏すしか道はない。
「あ~!!あっ~!!イライラする!榊田は高校時代を悔いて、あんたに不信感を抱かせないように、小夜の家にも行かなくなったのよ!?その榊田が女と二人きりになる選択をしたのよ!どれだけ重大なことかまだわかんないの!?」
「それ、昨日も聞い……」
チャチャを入れたせいで朔ちゃんの怒りは頂点に達し、怒号がまた響いた。
「小春っ!!この、馬鹿っ!!」
唾が飛ばされ私は手でガードしながら、この状況を打開する方法を見つけるため頭をフル回転させた。
「たっ、確かに朔ちゃんの言う通り!!はい。まったくその通りです!是非、榊田君が帰って来るまでここにいてください。本人から弁明を聞こう!」
朔ちゃんへの抵抗は地獄行きだ、大人しく同調するのが最善。
もう榊田君にまかせよう。
何故、私がここまで怒られないといけないのか、理不尽さにため息がこぼれそうになった。
午後二時、朔ちゃんが人間に戻った。
まだすごく不機嫌だけど。
「ね?あんたは何で榊田と付き合わないの?まだ、幼馴染のことが忘れられないから?」
直球だな、と苦笑しながらも私は頷いた。
「それでも榊田はまったく構わないと思うけど。あんただって榊田が好きなんでしょ?」
「私の問題。今のままでは榊田君と付き合えない。それに現状に満足してる」
仁くんをずっと私は好きでいるだろう。
彼がずっと特別だろう。
でも、その形を変えなければ。
恋から親愛へと。
元々、恋心もあったけど、幼い頃から一緒にいたから親愛の情がある。
でも、恋心が未だに胸を疼かせる。