私の二人の神様へ
「ごめんね」
ドアを開けると、朔ちゃんが私を睨みつけ、小夜ちゃんが宥めていた。
とりあえず、榊田君にスマホを返すと、彼は面倒くさそうに絨毯の上に放り投げた。
「あんたの幼馴染は一体、何を考えてんの!?」
あからさまな非難の声。
「仁くんのことは悪く言わないで。彼は、平気かどうか聞いてくれた。頷いたのは私」
「たかが五分ほどの電話を不快に思ってんじゃない。あんたの幼馴染はどうして榊田を取次ぎに使ったのか、って聞いてんのよ」
「それは、私が電話に出なかったから榊田君に……」
「俺への嫌がらせに決まってるだろ。あいつは性悪だからな」
うっ、思わず言葉が詰まる。
私も、仁くんの嫌がらせだと思う。
「つ、つまり、仁くんは榊田君が私とたくさんいるから嫉妬してるの!仁くんは私に会いたくて仕方がないから、つい八つ当たりを」
仁くんのフォローをする。
仁くんにこんな子供っぽいところがあったなんて、榊田君がいなかったら知ることはなかっただろう。
「俊に喧嘩売るなんて、小春ちゃんの幼馴染は怖い者知らずだね」
「確かに。榊田君に嫌がらせをしようなんて、橘君の二の舞にならないと良いけど」
「仁くんはね、すっご~く強いし、頭も良いの!榊田君が返り討ちに合うわ!本当に何をしても一番なのが仁くんなのよ。榊田君が敵うはずない!」
小夜ちゃんと広君が、ちらりと榊田君を見た。
「別に。水野が仁信者なんて今に始まったことじゃない」
確かに、生まれた時から仁くんが大好きだ。
だから、私はその通り、と大きく頷くと朔ちゃんに頭を叩かれた。