私の二人の神様へ
いつだって、私にとって貴方は
「今日は一段と可愛いな。俺が来ない間にナンパにひっかからなかったか?」
待ちに待った金曜日、この日のために、今日はいつも以上に手間をかけた。
服装は、仁くんがこの間私の雑誌を見て、
「小春に似合いそうだな」
そう言ってくれた服と似たようなのを探したし、昨日の夜は顔パックに高級なトリートメントと手入れをし尽くした。
それも、この一言が欲しいため。
彼に会えた喜びと、褒められた喜びで、ふわふわする。
「残念ながらまったく。せっかくオシャレしてこれだもん。褒めてくれるのは仁くんだけ」
ぷう、と口を膨らませると、彼は笑った。
「俺のためのオシャレだろ?高嶺の花で誰も声をかけられなかっただけだ。ほら、行こう」
彼に背中を叩かれ、立ち上がった。
私はカシスオレンジ、仁くんはビールで乾杯する。
実を言うと、仁くんと二人でお酒を飲むのはこれがはじめてだ。
「小春とこうして酒を酌み交わす日が来ようとはな」
「でも、お父さんに似て、そんなに飲めないみたい」
「酔っても、寝こけても、俺が介抱してやるからたくさん飲め。但し、他の男の前では酒は控えるんだぞ」
仁くんは、厳しい顔をした。
彼も私に過保護だなと、思わず笑ってしまう。
それから、昔の思い出話をしたり、私の就職のことを話したりと二人の時間を楽しんだ。
お酒のせいだろうか?
違うのはわかっている。
幼い頃から、私にとって仁くんはヒーローであり王子様。
ずっとずっと。
そして、彼の隣にいる私はお姫様だと小さい頃、信じて疑っていなかった。
でも、それは私の夢物語に過ぎなかった。
そんなことは痛いほどわかっているのに。
ふわふわ、ドキドキする。
でも、これぐらいは許して欲しい。
だって、彼の容姿だって、その淡い微笑みだって女の子を魅了して離さないものなのだから。
私にはそれ以上の感情があるけれでも、それでもこれぐらいは良いと思う。
そう言い訳して、さっきから仁くんに見惚れてばっかりいる。
顔が赤いのもお酒のせいにできるから、仁くんをずっと見ていても何の問題もない。