私の二人の神様へ
私のことを必要としてくれているようで、それが私の救いだ。
なんせ、私は榊田君に甘えてばっかりだから、たまには彼に甘えて欲しい。
そして、結局私は榊田君からボールを受け取ってしまうのだ。
「何?そのため息は?」
私はお箸を置いて、榊田君を見やる。
夕食をいつも通り二人で取っていると、榊田君が神妙な顔をして、話がある、と切り出した。
その内容は実に喜ばしいことで、私の幼馴染である仁くんの奥さんである佳苗さんが妊娠した、と言う話で私は思わず立ち上がり喜んだ。
なるほど、最近仁くんと連絡が取れなくなっていたのはこのためだったのか。
そんな喜ばしい状況なのに、彼がため息を吐いたのだ。
「別に。予想通りの反応だと思っただけだ」
呆れたように、彼は首を横に振った。
「仁くんの子供よ!こんな嬉しいことはないわ。喜んで当然。それ以外に、どうリアクション取れって言うのよ?」
またまた深いため息が、こぼれる。
彼の反応がいまいちわからない。
何が気に食わなくて、ため息など吐くのか。
「そうだな。祝い事だよな。お前がそう言うなら、祝い事だ。目出度い。目出度い」
目出度いと言うわりに、この抑揚のなさ。
まったく目出度さが伝わって来ない。
「その顔から、私には目出度さが読み取れないわ。佳苗さんの前では、しっかり目出度そうな顔したんでしょうね?」
仏頂面を晒している可能性は高い。
この辺りで、しっかり指導をしないと。