私の二人の神様へ
「小春。もう一度聞く。榊田のことが好きか?」
「………………」
仁くんへの恋心はまだ捨てられていないけど、榊田君への恋心が確実にあると思っていた。
だけど、それさえも今はわからなくなってしまった。
ひどく曖昧な気持ちだったからだろうか?
彼の問いに私は答えることができなかった。
「答えられないなら付き合うな。かと言って、好きじゃないと確信が持てないなら振るな。自分の幸せだけを考えてくれ。小春だけはそれで良いんだ」
彼は淡く温かい笑みを浮かべた。
慈愛に満ちた笑みを。
テーブルの上に置かれている彼の手にそっと自分の手を重ねる。
柔らかく、淡いオレンジ色の外灯。
雪を踏みしめる音。
繋いだ手の温もり。
どれも過去のものだけど、私はそこに新たに築きあげていく。
私の世界は仁くんだけではなくなった。
だけど、仁くんは私の世界に確実にいる。
私の手を握り返す手のひらの温かさは何も変わらなく、変わっていく私の世界、そんな不安の中にいる私を安心させてくれた。