私の二人の神様へ




「ごめんなさい」



 彼と目を合わせることができず、フローリングの傷を見つめながら言った。


 彼は、布団から起き上がり私の手首を離した。



「私、榊田君のこと好きじゃないみたい。もう、お互いの家行き来するのやめよう」



 榊田君が来てから暖房を入れたから、部屋はまだ冷え切っていて。


 それが一層、自分の言葉を残酷に響かせた。



「お前はどうしてそう仁に影響されやすいんだ」



 榊田君は苛立たしげに私に布団をばさりとかけた。



「違う。仁くんに言われたことをずっと自分なりに考えて私が出した結論」



「なら、何で俺が好きじゃないって思うんだ?俺のこと好きなのが顔に出てるぞ」



 そんなことを臆面もなく言える榊田君は十分自惚れだ。


 あまりの自惚れに、一瞬呆けてしまった。



「……確かに榊田君のことが好きだけど、打算ばっかりなの」



 仁くんへの恋とは違って彼への恋は打算がある。



「仁くんに振られて自信なくしてる時、好きだって言ってくれて、今の私を榊田君が好きでいてくれるなら、今のままの自分を嫌いにならないで良かったし、また前を向いて歩いていけると思ったの」



「それが、何かマズいのか?」



「私は榊田君支えにしてたの。自分を嫌いにならないようにするため」



「つまりは、俺に好かれていることが自信になるわけだろ?それって俺のこと好きってことじゃねぇか」



 確かに。


 少し自分の考えを彼の良いように持っていかれた節があるけど。




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