私の二人の神様へ




「自分を保つための拠りどころにしてるのよ。打算でしょ?」



「今までだって、仁を拠りどころにしてただろ。俺だと打算で、仁だと何なんだ?」



 そう言われると。


 仁くんに認められたいと、それだけを目標に走ってきた。


 今は、榊田君が好きでいてくれる私でいたいと、思っている。


 どちらにしても、自分の思いを支えにしてる?


 いまいちわからなくなって来たが、これだけじゃない。



「でも、私、榊田君に好かれてることが自慢でね。みんなに羨ましげに見られるのが嬉しくて、気分が高揚したりして。榊田君が彼氏だと自慢できるから好きになったところがあって」



「俺が水野にとって自慢ってことだろ?安心しろ。今まで通り、水野が自慢に思えるような男でいてやる」



 彼は腕を組んで、偉そうに頷いた。



「なんか、さっきから自惚れてません?榊田サン」



 ちらりと榊田君を見て、ぼそりと呟いてみた。



「は?お前が、俺が好きでいてくれるような自分でいたい、だとか、俺が自慢だ、って言ってるのに何で自惚れなんだ?何か違うか?」



「……いいえ。その通りなんですけど。何か、どこか違うような」



 あれ?


 私が知恵熱を出しながら、考え抜いた結論が彼の前であっさり崩れて、わけがわからなくなってしまった。


 眉をよせ、うんうん唸りはじめた私の頬を、榊田君は左右に引っ張った。



「ひぃた~い!はなひて~」



 一応訳すと、痛い、離して、だ。



「お前の面積の狭い脳みそで、くだらないこと考えてんな。お前は俺が好きなんだろ?そう思ったならそれが答えだ。何で、いちいち裏づけを取りたがるんだ。猫の額みたいな脳みそで」



 狭い脳みそ?


 しかも、猫の額?


 失礼だ。


 だけど、彼の言っていることは正しい。


 私は榊田君が好きだ。


 だけど、それは……




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