私の二人の神様へ
名付け
「はぁ?何で美玖が水野の家に泊まるんだよ?」
「だから、冬休みだから遊びに」
美玖ちゃんが、今年も遊びに来ると電話があった。
去年、美玖ちゃんと会ってから互いに連絡を取り合っていた。
何だか、妹ができたみたいで嬉しい。
立派なお姉さんがいる美玖ちゃんにしたら、失礼な話か。
「そもそも、あいつは受験生のくせに自覚がなさ過ぎる」
彼は厳格なお父さんみたいな発言をした。
「榊田君。自分の大学受験を振り返ってから、発言するべきだよ」
なんせ、榊田君ときたら大学受験の一週間前に美人OLと温泉旅行に出掛けていたと美玖ちゃんが言っていた。
色んな意味で羨ましく、嫌味っぽい話だ。
「……美玖が何か言ったのか?」
「美玖ちゃんに意地悪するからよ。自業自得」
私はびしっと姿勢を正して、ゆっくり言い聞かせるように話す。
「榊田君が冷たいって泣いてたよ。どうして、あんなに可愛い妹さん苛めるの?」
美玖ちゃんは榊田君のことが好きで、懐いてるのにひどい話だ。
泣くほどひどいことを言われたから、凄く落ち込んでいた。
そういうことを榊田君はまったくわかってない。
「……水野、お前の単細胞はどうにかならないか?」
そうやって、話を混ぜ返して、うやむやにする気だな。
榊田君がその気なら、
「そういう態度を取るの?それなら、やっぱりうちに泊まってもらうから。美玖ちゃんは私のお客様よ?慎重かつ丁重に扱ってね」
私が、つーんとそっぽを向くと、彼はため息を一つ吐いてあっさりと要求を呑んだ。