私の二人の神様へ
「……榊田君。その愛情表現すごく捻くれてて、美玖ちゃんに伝わらないよ。仲良くするにはもっと素直に!」
もう彼へのお説教の回数と言ったら、軽く三桁いったのではないだろうか。
それでもまったく成果が見られなくて、最近では片眉だけぴくりと吊り上ってしまう。
「水野。頼むから、もう少し人の裏を読めるようになってくれ」
榊田君は人の裏の裏を読むから捻くれてるんだ。
そう思ったが今日のところは、美玖ちゃんを迎えに行った素直さに免じてお説教は終わりにした。
「これ、お兄ちゃんの趣味?」
美玖ちゃんは、私の枕、もといイルカのクッションを摘み上げた。
「んなわけあるか。水野の趣味だ」
「だよね。何で、お兄ちゃんのところに置いてあるの?」
美玖ちゃんがお土産で持って来てくれたお饅頭を咀嚼してから口を開く。
「昼寝用の枕。ウサギとイルカで迷ってたら、榊田君がイルカが良いって言うから。ある意味榊田君の趣味だよ」
処分品のワゴンで愛らしい二つのクッションで迷った時に、榊田君の家に置くものだから彼の意見を聞いたのだ。
「水野。俺はヘビが良いって言った気がするんだが?」
「あんなリアルなクッションじゃ、眠れないもん」
模様も目もリアル過ぎて、処分品のまま廃棄されるような気がする。
「美玖ちゃん。ごちそうさま」
にっこり美玖ちゃんに顔を向けると、眉をひそめて、恐る恐ると言った具合に美玖ちゃんは聞いてきた。
「昼寝?まさかここで?」
美玖ちゃんが床をペシペシ叩くから、私は頷いて付け加える。