私の二人の神様へ
「小春が生まれて以降、男三人は小春にべったり。ベビーベッドを取り囲み、誰が抱っこするかで大騒ぎ。名前のせいかしらね?今でも、昭文さんに代わって俊君が加わって。私のほうがずっと良い女なのに。やっぱり名前のせいだわ!それしかない!」
一人でお母さんは納得したようだった。
仁くんのお父さんにも、凄く可愛がられていた記憶があるし、立派な箱入り娘状態だったと今にして思う。
甘えたがりな私の性格は、幼少期時代の環境からすれば必然なのかも。
「おじさんが俺を恨んでる気持ちもわからなくないので、今回もその形式でやることに決めたんですよ」
その言葉に、お父さんは身を乗り出し、仁くんの肩を揺さぶった。
「どういうことだ!?」
揺さぶられている仁くんの代わりに佳苗さんが答える。
「う、うちの両親と水野家の皆さんとで、名前を書いた紙飛行機を飛ばそうかと、お、思いまして」
「えっ?私も?」
思わず言葉が漏れた。
「あ、あの。ご迷惑でしょうか?今、勉強で忙しいとか聞いていて。あ、あの、出来れば」
佳苗さんの声が次第に、自信なさ気に小さくなっていく。
彼女が気にしているのは、勉強ではなく、自分たちの子供の名前を私に頼むことが無神経かもしれないと思っているからだ。
それくらいのことは、人の気持ちに鈍い私でもわかる。
だが、私はむしろ逆だった。
そして、そのことを仁くんもわかってるから提案したのだ。
仁くんと一瞬だけ目を合わせ、お互いに微笑む。
「いいえ、是非!絶対、良いの考えます!!おなかの子が一番気に入る名前を!!」
私は胸の前で拳をぐっ、と握った。
この子の名前は絶対私が付けよう。
私がこの子に送る最初のプレゼントはこれだ。