私の二人の神様へ
「おい。ベンチがとっくに空いたぞ。お前の形相を見てすぐに逃げ出した」
パンダに寄りかかるように座っている榊田君。
足が長くて寄りかかってしか座れないようだ。
「な、何よ!?足が長いのを自慢じでるのぉ!?悪かっだわね!足が短ぐて!」
私は横向きに座ってしっかり腰を下ろせた。
「ショックで被害妄想の症状が出てきたな。あかりの誕生を祝うなんて無理なことしたせいだ」
ヤブ医者顔負けの診断を下し、うんうんと頷く榊田君。
「か、勘違いしないで。私は喜んでるわ。ほ、ほんどうに本当よ!?」
「ああ」
「仁くんと両思いになれなくて良かったって思ってるのよ!ほ、本当に!」
「ああ」
「だ、だっで。仁ぐんが佳苗ざんと結婚しなかったらあかりちゃんには会えなかったっから!本当よ?」
「ああ」
「ほんどうにわかってる!?良い子ぶりっ子じゃないからね!?本心なのよ!」
「わかってる。俺が間違ってた。悪かった。お前はあかりの誕生を誰よりも喜んでる」
「そ、そうよ。これは嬉し涙だからっ!」
「ああ」
「で、でもね!」
「ああ」
「な、何だか少しだけ、悲しくで、終わったんだなって、思ったら辛くで」
そうして、やっぱり息が続かなくて、苦しくて、言葉が出なくなった。
そのままバスタオルに顔を埋めて、またわんわん泣いた。