私の二人の神様へ
最後の恋
「榊田君のことが好きです。私と付き合ってくれませんか?」
泣き腫らした顔を見られるのは嫌だったから俯いたまま言った。
上擦ってしまって、余計に鼓動が乱れた。
「……は?」
勇気を振り絞った告白に、何と間抜けな返答。
でも、突然だったから仕方ないか。
私も彼にはじめて告白された時、こんなだったのかもしれない。
とにかく、聞こえてはいるようだから、構わず続けた。
「もう遅い?私に愛想つかした?」
ここまで付いてきてくれたのは私のことが好きだからだと思う。
でも、私が心配で義務感みたいなものなのかもしれないから、とりあえず尋ねる。
「いや」
良かった、と一安心しつつ、続ける。
「私ね。相当重たいよ?あっ!体重じゃないからね!」
「体重もだが、性格的にはより重たい女だな」
榊田君は躊躇なく失礼なことを言ってのけたが、構わず続ける。
「それに、甘えたがりだよ?かなりの」
「お前の甘えたがりは、重々わかってる」
「それに」
「おい。まだあるのか?」
彼はうんざりしたように肩を落とした。
「ある。恋人が出来たら、手を繋いで歩きたいってずっと思ってたの。私、手荒れてるし嫌だったら無理してもらいたくないけど。嫌?」
「嫌じゃない。で、もう良いだろ?」
彼はパンダから立ち上がり、半歩進み象さん座っている私の手を握った。
「ま、まだあるの!」
「何でも受け入れる。だから、問題ない」
「最後が重要なの!!」
彼はため息を吐きながらも、何だ、と続きを促す。