私の二人の神様へ

最後の恋






「榊田君のことが好きです。私と付き合ってくれませんか?」



 泣き腫らした顔を見られるのは嫌だったから俯いたまま言った。


 上擦ってしまって、余計に鼓動が乱れた。























「……は?」



 勇気を振り絞った告白に、何と間抜けな返答。


 でも、突然だったから仕方ないか。


 私も彼にはじめて告白された時、こんなだったのかもしれない。


 とにかく、聞こえてはいるようだから、構わず続けた。



「もう遅い?私に愛想つかした?」



 ここまで付いてきてくれたのは私のことが好きだからだと思う。


 でも、私が心配で義務感みたいなものなのかもしれないから、とりあえず尋ねる。



「いや」



 良かった、と一安心しつつ、続ける。



「私ね。相当重たいよ?あっ!体重じゃないからね!」



「体重もだが、性格的にはより重たい女だな」



 榊田君は躊躇なく失礼なことを言ってのけたが、構わず続ける。



「それに、甘えたがりだよ?かなりの」



「お前の甘えたがりは、重々わかってる」



「それに」



「おい。まだあるのか?」



 彼はうんざりしたように肩を落とした。



「ある。恋人が出来たら、手を繋いで歩きたいってずっと思ってたの。私、手荒れてるし嫌だったら無理してもらいたくないけど。嫌?」



「嫌じゃない。で、もう良いだろ?」



 彼はパンダから立ち上がり、半歩進み象さん座っている私の手を握った。



「ま、まだあるの!」



「何でも受け入れる。だから、問題ない」



「最後が重要なの!!」



 彼はため息を吐きながらも、何だ、と続きを促す。




< 88 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop