私の二人の神様へ
「俺は小春のことが大事だし、大好きだぞ」
私の目線に合わせて屈みこむ仁くんに、私は目を伏せる。
「……うん。私も大好き」
次に目を開けた時には、何の躊躇いもなく笑えた。
彼が大好きと言ってくれた笑顔で。
そんな私を榊田君が見ていたことに私は気づかなかった。
「お前の彼氏は誰だ?」
「へっ?」
仁くんからの家の帰り道、榊田君は奇妙なことを言い出す。
「仁のこと未練がましく見てただろ」
「……うん」
ここで嘘を吐くの得策ではない
きっとこれからもそう思われてしまうことがあるから。
「たぶん仁くんのことを完全になかったことにはできない」
「……だろうな」
「でも、私が今好きなのは榊田君で、こうして一緒にいたいのも榊田君で。とにかく、気分悪くさせてしまってごめんなさい」
「……いい。今ので機嫌が直った」
「……本当に?」
「ああ」
幸いだ。
本当に私の幸いだ。
私の拾う神様はとても素敵で優しい。
次に恋した相手が彼で良かった。
「大好き!榊田君が大好き!」
暗い空に向かって大きな声で言ったら、うるさいと頭を叩かれた。
それでも、やっぱり私には幸いの日々なのだ。
このままずっとこんな日々が続けば良いのに、そうはいかないのが私たち。
幼馴染との関係って難しいし、恋人との関係も難しい。
幼馴染と恋人の仲が悪いのが、さらに難しくさせる。