私の二人の神様へ










 そして二つ目はキスをするようになったこと。


 経験があるわけではないが、本能的にわかる。


 榊田君は慣れている。


 付き合い始めた頃のかすめるようなそっけない口付けも、四ヶ月経った今では長く深いものへと変わっていた。


 私がお付き合い初心者であることがわかっているから私のペースに合わせてくれている。


 何もかもこの恋は榊田君にリードされている。


 息苦しいほどの口付けだけど、全然嫌ではない。


 心地良さを感じる。


 恥ずかしくて未だに慣れないけど。


 一度唇を離され、もう一度唇を塞がれる。


 その拍子にキツく閉じていた目をうっすら開けると、榊田君と目がかち合った。


 慌てて目をぎゅっと瞑る。


 榊田君は付き合いだしてからも相変わらずそっけないし、クールだ。


 本当にいつも落ち着いているし、マイペースだし、表情を変えたりしない。


 だけど、こうして口付けを交わしている時の榊田君は情熱的だと思う。


 彼の意外な一面を見ているようだ。


 かち合った瞳も私を求めてくれているように濡れていて、神秘的な輝きを一層際立たせていて、これ以上魅せられまいと私は目を閉じる。


 深みに嵌っていくようだ。


 付き合い始めてから、どんどん好きになっていく。


 不明慮で好きかわからない、なんて言っていた自分を不思議に思う。


 こんなにも好きだったと、付き合い始めてから気づいた。


 そして、彼により一層惹かれていく。


 息もできないくらい求められても足りないくらい好きだ。


 


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