私の二人の神様へ





 だから、彼が私以外の女の人にもこういうことをしていたと思うと少し面白くない。


 というか、すご~く面白くない。


 彼を困らせるから絶対に言わないけど。


 でも、やっぱり悔しいから自分からキスをせがんだりしない。


 それにやっぱり恥ずかしいし。


 口付けが終わった後は、酸欠か、この甘い口付けにやられてか、自分では立てなくなり榊田君にもたれてかかってしまう。


 彼はそんな私の呼吸が整うまで、髪の毛を梳いたり背中を撫でてくれる。


 それがやっぱり心地良い。


 大事にされていると感じる。


 愛しさがこみ上げてくる。


 だからその想いのまま爪先立ちをして彼の首にしがみつき、耳元に唇を寄せた。



「大好き」



 そう囁くように言うと、ぽんぽんと背中を軽く叩かれ、首に回していた手を解かれる。


 その時の榊田君の表情がひどく色っぽい。


 悩ましげに眉を寄せてる姿がすごく色っぽくて、少し収まった熱がいつもぶり返す。


 ぽけっ~と見惚れている私になんか気づかないで、送っていく、と玄関のドアを開けた。


 二ヶ月くらい前まではキスの後、もう少し長く抱きしめてくれていたし、抱き合ったまま会話もしていた。けど最近は私の呼吸が整うと、さっさと離れてしまって、やっぱり面白くない。


 というより、寂しい。


 私たちのキスはいつもお別れのキスだ。


 帰り際、玄関で交わす。


 だから、余計名残惜しくなる。


 榊田君もそのはず。


 眉を寄せた表情はそれを物語っている。


 だけど、あっさりといつものそっけない榊田君に戻るのが日々早くなっているのだ。



















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