浅葱色の忍

近藤勇 ②

歳の手を払った烝の顔色が悪く

慌てて体を支えた時には

私の腕の中で、意識が無かった



梅沢様の指示に従い



烝を抱え、通された部屋に寝かせる







今日、慶喜様に呼ばれた時に



烝に会えたなら



その期待をして、2人を連れてきた
歳と伊東君は、別室で待っている


眠る烝を見つめ


不安がよぎる


烝華として、ここにいるのか?


忍としてではなく?



まさか… 烝は、慶喜様のところに?


烝に触れようとした手は
不安が増して、触れることを戸惑う




「心配するな… 直に目を覚ます」



慶喜様が来たことに気がつかなかった

慌てて頭を下げると


「そんなことをしなくてもいい」


そう言って、私の反対側、烝のそばに
腰を下ろした


「不安になったり、悩みがあると
烝は、感情を殺して人を避けた
〝闇に落ちる〟そう表現していた
女の姿になると、こうして倒れるのは
俺が、烝を闇に落としたのが始まりだ」


慶喜様は、顔に少しかかった髪をすくった



「近藤の話になると、顔を赤らめる
自分を抑えられないほど
其方に惚れている
惚れているから、苦しいのだろう
烝の事を想うのなら、想いを伝え合え
喧嘩しても、何度でも話し合え
俺は、それが出来なかった
いや、しなかったんだ
倒れるほど不安になっていると知っても
烝を避けた
その償いに、今回は仲直りする為に
力になることにした」



慶喜様が、私の目を見た


「夫婦にならなくてもいい
生涯、烝のそばにいてくれないか」


てっきり、烝を返せと言われることを想像していた私は、慶喜様の言葉に


気がつけば涙を流していた



烝は、どれだけ我慢していたのかを
慶喜様が語ってくれた

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