浅葱色の忍
大粒の涙を拭うことなく


ポロポロと落とし


私の顔を見る




「おおきに」




私の着物を遠慮がちに掴み
視線を落とした



2人きりなのに



我慢ばかりしている




烝を引き寄せ、胸に収めた



「あとどれくらいで帰れるんだい?」


「わからへん
でも、早く帰りたい」


「待ってるよ
怪我したり、こんなふうに倒れたり
しないと約束してくれないか?」


「約束する
何があっても勇のそばにおりたい!
怪我は、せえへん!」




烝に口づけをした


そういえば、前のは寝ている時だったので
久しぶりなのと、驚きで



涙は、止まり
盛大に照れて赤くなる



そんな烝が逃げないように


ぎゅっと包む




しばらくすると、おずおずと
烝の手が背中に回ってきた




気持ちが通じ合えた





よかった

















< 104 / 264 >

この作品をシェア

pagetop