浅葱色の忍
慶応2年  秋
近藤が留守中に、慶喜から仕事の依頼があり、土方が沖田と沖田の隊士を5名連れて渋沢篤太夫のもとへ

隊士らを外に待たせ
通された部屋に入る


「貴方達が、鬼の副長だとか、鬼の子とか
言われてるんですか?
なんだか、思ってたのと違うなぁ~」



顔を見るなり、そんなことを言う渋沢に


「怒ると怖いんですよぉー!」


沖田が土方を横目に見る


「怒られることするからだろ」


土方も横目に見返す



「俺の上役は、怒らなくても怖いぞ!
笑ったところなんて見たことないし!
全く意見させてくれない!
怒るととんでもなく怖い人で
でも、貴方達みたいに美丈夫というか
女顔を鬼にしたような人ですよ」



喋り終えた渋沢が、土方と沖田の視線を追い、静かに振り返る



仁王立ちの山崎の姿に
渋沢が青ざめる


「誰のことだ?」



鋭い目で、渋沢を睨みながら
ズイッと顔を近づけて


「言ってみろ」



「あ… ははっ あはは…」



「女顔の鬼って話をしてるくらいだ
仕事の話は、終わったんだろうな?」


「ひっ! 今!今、丁度しようかと!」


「チッ 遊んでんじゃねえぞ… チッ」







見廻組を脱けた
大沢源次郎が不穏な動きをしていると聞き
調べてみたら、長州と繋がっていた
その、大沢の捕縛が今回の任務だった








< 106 / 264 >

この作品をシェア

pagetop