浅葱色の忍
「俺の指揮が良かったんだろうな!」



良い人なんだが

なんか、落ち着きがないというか



「何か指揮した?」


「行けーって、言ったろ?」


「それだけじゃないですか!」


「間が良かっただろう?」





総司との言い合いは、続けている





2人とも、山崎が部屋に入ったことに
全く気づいてねえ


山崎に視線をやると

苦笑いをした



腕を組むと



「随分と仲良くなってんな」



「「うわっ」」



総司と一緒に、驚いた渋沢さんが
すぐに畏まる


「渋沢… どうだった?」


「はい!土方は、視野が広く
冷静に適材適所、適格な指示を出しており
また、沖田との信頼関係があるからこそ
心にゆとりがあるのように見受けました
そして、沖田は物怖じすることなく
俺とも対等に物を言う
少し生意気ではありますが
心根の優しい男で、信用出来ると確信いたしました!」



大沢ではなく、俺達についての報告だった



「まあまあだな」


「えーーー!?どこらへんがですか!?」


渋沢さんは、自信満々だったらしく
不満の雄叫びをあげた



「俺の指示を言ってみろ」


「土方 沖田 2人の言葉を全て聞けと」



は?なんだ?なんで、そんな指示を?

総司と俺は、目を丸くする


「で?他にわかったことは?」


「……」


「2人だけで会話しているとき
すねた沖田に何て言った?」


「……っ!あぁ!〝山崎〟って!!!」


「つまり?」


「新選組の2人と
お知り合いなんですか!?」


「そういうことだ
本の中なら、読み返すことは容易い
さらりと聞いた言葉は、その場で考える
何かしらの裏があり、意図がある
これは、お前自身にも言える
人の上で仕事をするのなら、発する言葉
一つ一つに気を配れ」


「はい!」




山崎が部屋を出ると入れ替わりに慶喜様が
来て、報告を済ませた




屯所への帰り道



「良い人でしたね!」


散々言い合いしてたくせに…


「そうだな」


「山崎君、疲れてたね
笑わないし、ぶっきらぼうだった」


「ばぁか、わざとだ
それに、総司達を見て、笑ってたよ
苦々しくな!」


「山崎君の言葉を読み取ると
今日は、一日中一緒だったんでしょうね」


「ああ 気づかなかったがな…」



そう、全く気配がしなかった


やはり、忍ってのは、すげぇな



味方で良かった…













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