浅葱色の忍
その数日後



天子様が御隠れになったと知らせが来た





吉村君と烝があちこち走り回っていると
話を聞くだけ



私情は、挟めない

烝が忍である限り



歳に任せていた方が適任だ




とはいえ



あれから烝が気になって仕方ない



歳のところにいれば少しは会えるかも




特に用は無いが




部屋に行く



他愛も無い話をしていると

「戻りました」

烝の声



平静を装い、入ってきた烝に微笑む

烝も返してくれた


そんな私達を見ながら


「烝華の様子は、どうだ?」


「…変わりないですよ」



まるで、試しているような質問に
烝も警戒していた


「それは、良かったね」


私もそれとなく会話に入る




「そういや、かっちゃんは知ってんのか?」


「何を?」


「女の話」


「副長… 言わん約束やんか!!」


「クククッ いいじゃねえか
この前も会ったんだろ?」


「ええから!局長に聞かせる話やないって!
口軽っ!もう、相談とかせえへん!!!」



こんなに大慌てな烝に興味が湧き
何より、相談の内容が気になる



「私も相談に乗ろう!」


「や!もう、解決してん!ええねん!」


「クククッ こいつ、惚れた女と
四六時中ずっと一緒にいたいらしくてさ
でも、女はそうでもなくて
さみしいってウジウジしてたんだよな!?」


「わーーーーー!!!大袈裟に言うな!!
もうええって!! 用がないなら
部屋で休むから!」


あっという間に、逃げて行った



「うまく行ってるらしいんだが
気にならねえか?どんな女か」



それ、私の事だ とは、言えないな





「紹介しろって言ってんだが
嫌がるんだよなぁ~
かっちゃんも知らねえのか…」





試していたのは、私の反応か




「歳に紹介したら、盗られそうって
警戒してるんじゃないか?」


「クククッ そんなにいい女なら
尚更見てえなぁ」



私の言葉は、逆効果だったようだ













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