浅葱色の忍
慶応3年  夏
分離した伊東ら御陵衛士が、月真院に移った頃

新選組から、御陵衛士に移りたいという者が現れたり、新選組に戻りたいという者も現れたりと、混乱状態になった


それを収めるため、近藤と伊東が
今後、隊士らの行き来、交流を禁じた



会えば挨拶を交わしていた
嘗ての仲間同士




「からかう奴がいねえのは、つまらねえな」


永倉が、縁側で言った



シュタッ



「お前、独り言デカイで?」


「だって、つまんねえんだよ
原田が巡察行ってるとよぉ」


「……素振りでもしたらええやん」


「さっきした」


「永倉はさ……
御陵衛士に行くはずやったやん?」


「おぅ」


「良かったんか?」


「ばぁーか!俺が行ったら、山崎が
さみしいって、泣くじゃねぇか!!!」


「は? 泣かへんし…」


「はははっ 平助が心配だったけどよ
いくら、間者としてでも
俺は、伊東さんに従えねぇ
近藤さんが、人を切り離したのは
初めてみたんだ
あの人底抜けに、騙され気質だけど
それでも… どんな人も許してきた
その器の大きさが好きでよ」

山崎に、ニカッと笑い


「近藤さんの為に、ここに来たようなもんだ
仕事でも、嫌な物は嫌なんだ」


「副長は、永倉の性格分かってるから
理由を聞かんかってんな」


「俺も山崎の性格分かったぞ!」


「へぇ」


さほど興味ない返事をすると



「山崎は、寂しがり屋だ!」


「……」


「んで、近藤さんと良く似てる」


「!!!似てる!?」


「俺の妹が、あんな目にあったら
俺は、絶対に許さねえ!!!
なのに、お前はすげえよ
騙され気質なとこ!そっくり!!」


「……似てるって、そこ?」


「はははっ」


「はぁ もっとええとこないんかい」


「いいとこだよ」


「どこがや!?」



永倉との言い合いをしていると



「山崎」



土方の呼ぶ声




「ほな、またな」


「おう」


「あー、寂しがり屋は、永倉もやと思うで?
さみしかったら相手すんで!ふふっ」


「ふっ よろしく頼むわ」




















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