浅葱色の忍

土方歳三 ②

忍とは… 厄介な仕事だと、つくづく思う



山崎が、かっちゃんの忍になると決めた日
かっちゃんから、山崎を頼むと言われた


「主とは別に、俺を使う人が要ります
忍は、主を失ってはいけません」


「ああ…それで、引き継ぎ役がいるわけか」


「いえ、主の事は、命を掛けて守ります
だから、万が一の事があれば盾になります
ですが、敵の手で死ぬことは許されません
俺がもう駄目だと判断した時は、クナイを
受け取りトドメをお願いします
主を守り、命を落とせるのなら
忍にとって、とても名誉な事だから」


あの時


「わかった」



俺は、忍に興味があり
簡単に引き受けた

山崎は、良く働くし本当に優秀だ



滅多にあることではないと
山崎が言っていた



それが、目の前で起こった



恵が、忍だったとは…


山崎は、どんな気持ちで
恵を送ったんだろう


慶喜様の胸ぐらを掴み
感情を押し殺すように、睨む姿は
見ていて辛かった


ただ 見ているだけだった



かっちゃんは、2人の間に入った

普段、大人しい分
この行動力には、いつも感心する

本当に尊敬する



俺は、出来るだろうか



山崎がかっちゃんを守り
俺にクナイを差し出したら

受け取れるだろうか





「歳 お前の考えているようなことは無いよ
私の事は、守らなくても良いと言ってある
それに、怪我はしないと約束している」



かっちゃんが、小声で言い、笑った




考えていることが顔に出ていたか…




「万が一は、誰にでもあるさ
考えておかねぇと」



「無いよ
烝は、優秀だからね」



ふふんっと得意気に笑った



山崎の事、相当に信用してんだな




そうだな




「烝!!!」


梅沢様の声に、前を見ると

ひょいひょいと屋根上へ


あぁ……


やっぱり、心配だ



あいつ、すぐ無茶する




「歳…… 山崎君のアレ治せるか?」


「無理だろ
勝手な事すんなって、どんだけ言ったか」





なぜか、山崎は大丈夫だという自信はある



ほら




角を曲がると




山崎は、恵を斬った下手人を捕らえている




梅沢様に拳骨と説教を貰っているが
あいつの行動は、いつも先を行く




負けてられねえな



























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