浅葱色の忍

山崎烝 ②

捕らえた者が、女だったと聞き

顔を見に行った



ゾクリ



心が騒ぎ出した




顔に出さないように、気をつけながら
マジマジと顔を見る






そこに居たのは








島原で一緒だった女と

俺の懐妊を確認した産婆の女中がいた




伊東さんの策略だと気がつき



梅沢に　｢今日の情報　御陵衛士の伊東からじゃないのか？｣

そう聞くと、ばつが悪そうに


｢新選組に花を持たせたいから
内緒にと言われたが、バレたか｣


花？　ふざけんな！


｢近藤を呼んで｣


梅沢に呼ばれてきた勇に



｢罠にかかった…　ごめん…　読めなかった
慶喜は、天子様じゃなく中川宮と話してる
烝華の事…　俺と慶喜を仲違いさせるため
あと、俺と烝華が同一人物か
確かめる為だと思う…｣


｢何の話だ？｣


｢梅沢……　俺、中川宮と…寝たんだ
それで、新選組に報酬が入った｣



少しの沈黙があり



｢伊東に仕組まれたのだな｣



コクリ



｢慶喜様に話してみろ｣



コクリ



信じてくれるやろか



不安が押し寄せた



｢いつから体を売るようになった！？｣


｢慶喜…｣


｢慶喜様、烝がそのようなことをすると？｣


｢懐妊していたというではないか！？｣


｢騙されたんだ…　聞いて｣


｢慶喜様、どうか烝の話を…｣


｢近藤　騙されたのは、俺だ
烝が体を売ったことは、事実なのだ｣





伊東さんがどうとかじゃない

俺が、しっかりしてなかったから…




｢慶喜！｣





輿に乗った慶喜に



｢あの日…酌を頼まれたんだ
俺と烝華が同一人物だと疑われてて
罠だと気がつけば良かったけど……｣



勇にも言ってないことだから……
吐きそうなくらい

胸が締めつけられる



｢抵抗したら…　叩かれて…
新選組がどうなってもいいのかって…
今まで、慶喜しか知らなかったから
押さえつけられて、力で敵わないって
どうしようもなくて…　怖くて…
早く終わればいいのにって、泣くしか…｣


｢なぜ、忍に戻った
忍でなければ、そんなことにならぬ！｣