浅葱色の忍
重い着物を着たまま窓へ

「烝華…危ないことは、せんといて…」


「心配すんなってアイツは、男だし
優秀だからな」


スッと窓を開け、クナイを投げる
3人中、ひとりに命中


命中した男の息を斎藤が確かめる




2人が逃げる


「永倉!!そっち行った!!」


「おう!」


「こっちは、任せろ!!」


もうひとりは、原田が追った



屋根上を歩き、2人が捕まったことを確認



そろりそろりと部屋へ戻る


窓から、チラリ


部屋で男が抜刀していた



その後ろから思いっ切り、蹴りをいれ
刀を奪い、さらに峰打ちをする



「烝華!! 怪我は?怪我はない?」


「君菊 烝華ちゃうって…」


「烝華… 辞めて!!こんなこと…
危険や!! いくら、近藤はんがええって
認めてても、女子のあんたがこんなこと…
こんな命賭けなこと、したらあきまへん!
……ぁ」


「……アホ」



勢いに任せ、女だと言ってしまった



2人の会話を聞いていた土方の眉間には
くっきりと皺が

そして、頬はピクピクと引き攣っていた


「そういうことや」


と、言えば


「馬鹿野郎!!!君菊より先に
俺に言っとけよ!!!」


「は?気づく気配なかったやん!」


「おい!じゃあ……お前は、烝華で
山崎は、死んだのか?」


「ちゃう 俺が山崎烝で烝華や
死んだんは、従兄弟の薫、男や」


「君菊が当たってたってことか……」


「なんだ?どうした?」


集まって来た幹部らに


「すみません 俺、女なんや」


「あぁ やっぱり?」

「だろうと思ったよ」

「そんな気はした」


「お前ら…… 何で言わねえんだよ!!」


「え? だって、なぁ」

「うん 山崎は女だからって、俺らに劣るとこねぇーし」

「ああ 副長にも勝ったと聞いていた」



山崎は、君菊に微笑んだ


「知られたら、追い出されると思って
隠しててんけど、バレてたみたいや」


「土方はんは、鈍感どすな」


「そやな なんや、怖がることなかってんな
勇の言う通りや
もっと早く言っても良かったな」


「大丈夫どすか?」


「聞いたやろ? 優秀やねん!俺!!」


「自分で言う? ふふっ
烝華は、本当は、強かったんどすな?」


「そっ」







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