浅葱色の忍

土方歳三

華奢な山崎をそっと降ろす

化粧で顔色を隠してあるが…


「歩けるのか?」


「手貸して… ふぅー よし!
勇の為や!頑張るで!!」


俺の手に体重を掛け、歩き出す

凜とした歩き方は、隣で見ていても美しい



「え……」



港に停泊中の船を見て、山崎が止まった

目を見開く


「富士山って、名前らしいでけぇよな!?」


「スループやん…」


「するう…ぷ?」


「あはっ スループ!マストのついてる…
あ、マストてあの布のことな
わぁ… 作ってくれてんやな!
乗って見たかったんや!
あかん!元気出た!はしゃぎたいわ!」


「よく分かんねぇけど…
お前が作らせたのか?」


「欲しいって言ったけど、作ってくれるとは
思ってへんやん?」


本当にすげぇ奴だ

船欲しいとか、言って作って貰えるなんて



「姫さぁーーん!」


「わっ!本当に姫さんだ!」


「姫ーー!!」




駆け寄る男らに、また目を開く



「や!長崎の…皆…」



「こらー!!!お前らーーー!!!
姫さん来たら、乗船させるっつったろ!!
早く新選組を乗せてやれ!!!」


「「「えええええーーーー!!!!!」」」


「姫さんを乗せて出航するぞ!!!」



山崎がにっこり笑うと



「「「はい」」」




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