浅葱色の忍

慶喜の悩み

気に入らなかったのだろう…


喜んでつけてくれると思ったが
いつも通りの薄化粧だった



用事を済ませ
屋敷に戻る途中も襲撃にあった


日に2度も…



烝華が強いことは、知っている

平岡が烝華にブツブツ言っていたからか


今回は、籠の前に立ち

動かないようにしているようだ



｢何しているのですか！？
危ないから、籠の後ろに隠れて下さい！｣


｢お気遣いなく｣


｢姫様だろ？ほら！危ないから！｣



そんな烝華と聞き覚えのない声が
会話しているのが聞こえた




しばらくすると




｢姫様ご無事ですか？｣


｢私のことは守らなくてもいいですよ
ほら、誰も守ってないでしょ｣


｢仕事だから｣


｢すみません｣



少しの沈黙の後



｢貴方、お寺であった人でしょう？｣



今度は、烝華から声を掛けていた



｢覚えてくれてたんですか！？｣


｢１度お話した方は、忘れません！ふふっ｣



楽しげに笑う声に、嫉妬心がわいた



｢お元気そうで、安心しました｣


｢家定様の御家臣ですか？｣


｢いえ、たまたま護衛の仕事を頼まれて｣


｢そうですか
引き続きよろしくお願いします｣


｢おい！姫様に気軽に声を掛けるな！｣


｢すっすみません！！！｣


｢すみません　平岡殿
私が、声を掛けました
以前に話をしたことがあり、懐かしく｣


｢そうですか
姫様もお立場がございます｣


｢はい　すみません｣