浅葱色の忍
隠居が解除されることになり

慌ただしい日々の中



次第に笑うこともなくなり


ちょっとしたことにイライラする



自分でも、どうしていいのかわからない程





側室に戻れと言われたり
松五郎と2人で会うことを逢い引きと
勘違いされたり


どんなに頑張っても

「女だから…」



そんな声も聞こえた





「忍なんてたくさんいるんだから…」





それが1番堪えた







いらない






そう言われている気がして













青々とした空の下

いつものように木に登り

その青をぼおーっと見ていた




「おーい!!岸三!!」




松五郎の声



俺は、いつもと違い
忍とバレるような降り方をした



「すげえ!!」




松五郎は、手を叩いて喜んだ



そして


「岸三!!一緒に仕事出来るぞ!
一橋様の護衛、お前もするんだろ?」



翌日





俺は、松五郎に気づいたけど
仕事に専念した



松五郎は、怒っただろう


松五郎との関係を裏切ったのだから








久しぶりに慶喜と2人きりになった

もう、話が何かはわかっている



「側室に戻ってくれないか」



ほら、いらない忍だって



慶喜がそっと俺の手をとった


その時



〝もう、好きじゃない〟



慶喜への恋心が自分にないと確信した




胸が、高鳴らない


今、男装だからとかじゃない






もう、同じ思いをしたくない

俺の本能が拒否している










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