浅葱色の忍

烝の迷い

慶喜が、俺を側室にしたいのはなんで?



慶喜への返答に頭を悩ませる



そんな俺に薫のおとんから届いた報せ



両親が亡くなった

父が亡くなり、俺に心配をかけまいと
黙っていたが…母が亡くなり
隠しておけなくなったと…


なにもかもすませてから
報せてくれたらしい



喜代の時、慶喜への報せを後回しにした



隠し事をするのは、血筋やろか






「前も、仕事と思っていたのなら
また忍として、側室になればいい」




慶喜は、俺に何か恨みがあるのやろか


あの辛さに耐えられるほど

慶喜への気持ちがない




慶喜は、俺を想ってる?




しばらく慶喜を見つめ
慶喜からの言葉を待った




…そんなわけないか





だとしたら、梅沢も平岡も
本当は、俺を憎んでるんやろか



無償に悲しくなり


涙が溢れそうだったから、慶喜を残し
部屋を出た




涙を止められず

こぼれ落ちる涙も拭かず



一人になれる場所を求めて
廊下を歩く



「おい!どうした!?」


「触るなっ!」


平岡を睨む



「どうしたんだい?
慶喜様と喧嘩でもしたのかい?」


梅沢にも睨みをきかせ



「心配なんて、してないくせに…」




2人が心配しているのは


慶喜だけ









屋敷を抜け、たどり着いたのは
松五郎と会う
大きな木下

なぜ、登らなかったのかわからない


登れば、松五郎が来ても一人で泣ける


わなわなと木に背を預け
ストンと座る



相変わらず止まらない涙




両親の死

失恋




なんやねん…


頭の中がややこしい















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