浅葱色の忍
翌日
朝一番に
平岡が、烝について行きたいと言ってきた
「どこに行くのだ?」
「さぁ行き先なく旅をするとか」
「旅!?
まてまてまてまてまてまて……」
昨日のやり取りを思い起こす
…
「烝は、ここを出て行くというのか?」
「…慶喜様、忍を辞めるということは
そういうことでしょう」
青くなる俺に
追い討ちかけるように
「おはようございます
烝の見送りをして参りました」
「「はぁーーーー!?」」
「俺ついていくって言ったのに!!」
「それは、昨日の事だろう?
ついてきてくれて良かったと言ってたぞ」
「梅沢!平岡!連れ戻せ!!!
俺は、側室を辞めるとは聞いてない!!
ここを出て行くのも、今知ったんだ!」
「なんと!慶喜様!そうでしたか!?」
「慶喜様も、烝も
肝心なこと言わねえから!!!
だぁっーーーー!!俺、墓見てくる!!」
平岡が慌てて出て行ったが
梅沢は、俺の前に座った
「探さないと仰ってませんでした?」
「目の届かないところに行くと思っておらぬ
出掛けても、帰ってくると思っておった」
「見送り、お誘いすれば良かったですね
きっと、朝早くに出ると思いましたので
今朝は、早起きしました
そうだ!烝の部屋に行ってみませんか?」
梅沢に誘われ、烝の部屋に向かう途中
美賀子に出会す
皆で烝の部屋に行くと
「こちらは、ずっと使っていた長巻
慶喜様に仕えるようになってからの刀
それから、慶喜様から贈られたもの
全て置いて行きました」
「烝は、身一つで出たのですか?
襲われたら大変です!
それに…旅の資金は、どうしたの?」
美賀子の言葉に、梅沢を見た
「思っていたより、自分が強いとわかったらしくて… 武具は、持たないと…
護身の物だけは、持ちましたけど
資金を含め、一からやり直すと
だから、処分して欲しいそうです
今朝の烝は、久しぶりに笑顔でした
皆様に感謝を伝えるように言づかりました」
「慶喜様…だからっ言ったのに!!
私…烝ともっと仲良くなりたかった
烝と女子同士の話をしたかった
…烝の物、私に下さい!
これ、全部…私が預かります!
烝が、帰ってくるかもしれないもの!」
烝の物、全てに見覚えがあった
散歩したときに着ていた着物
初めて贈った紅
烝愛用の武具
いつもつけていた髪紐を手にした
「美賀子…これだけは、俺にくれないか」
「はい」
なんだか形見分けのようだ
「慶喜様!これも慶喜様が持っていて!」
「なんだ?」
「きっと!へその緒です!」
風呂敷を開き
小さな箱の字を見た
〝山崎喜代〟
誕生の日と烝の名
「山崎って…」
本当に自分だけの子のつもりなのかっ!
「喜代…良い名ですね!」
「俺がつけたのではない…」
「でも…慶喜様の御名前が入っております
慶喜様、烝が辛かったのは、慶喜様を
お慕いしていたからですよ
想えば想うほどに、相手の気持ちがわからぬのは、恐ろしくもあり
寂しくなるものですわ」
我が子の性別、名前を今になって知り
胸がジクリとした
俺は、烝に思われていたなんて
思っていなかった
美賀子の言っていたように
自分の寂しさで、都合よく
そばに置きたかった
もっと
烝と…
勝手だと、我が儘だと言われようとも
夫婦でいたかったんだ
朝一番に
平岡が、烝について行きたいと言ってきた
「どこに行くのだ?」
「さぁ行き先なく旅をするとか」
「旅!?
まてまてまてまてまてまて……」
昨日のやり取りを思い起こす
…
「烝は、ここを出て行くというのか?」
「…慶喜様、忍を辞めるということは
そういうことでしょう」
青くなる俺に
追い討ちかけるように
「おはようございます
烝の見送りをして参りました」
「「はぁーーーー!?」」
「俺ついていくって言ったのに!!」
「それは、昨日の事だろう?
ついてきてくれて良かったと言ってたぞ」
「梅沢!平岡!連れ戻せ!!!
俺は、側室を辞めるとは聞いてない!!
ここを出て行くのも、今知ったんだ!」
「なんと!慶喜様!そうでしたか!?」
「慶喜様も、烝も
肝心なこと言わねえから!!!
だぁっーーーー!!俺、墓見てくる!!」
平岡が慌てて出て行ったが
梅沢は、俺の前に座った
「探さないと仰ってませんでした?」
「目の届かないところに行くと思っておらぬ
出掛けても、帰ってくると思っておった」
「見送り、お誘いすれば良かったですね
きっと、朝早くに出ると思いましたので
今朝は、早起きしました
そうだ!烝の部屋に行ってみませんか?」
梅沢に誘われ、烝の部屋に向かう途中
美賀子に出会す
皆で烝の部屋に行くと
「こちらは、ずっと使っていた長巻
慶喜様に仕えるようになってからの刀
それから、慶喜様から贈られたもの
全て置いて行きました」
「烝は、身一つで出たのですか?
襲われたら大変です!
それに…旅の資金は、どうしたの?」
美賀子の言葉に、梅沢を見た
「思っていたより、自分が強いとわかったらしくて… 武具は、持たないと…
護身の物だけは、持ちましたけど
資金を含め、一からやり直すと
だから、処分して欲しいそうです
今朝の烝は、久しぶりに笑顔でした
皆様に感謝を伝えるように言づかりました」
「慶喜様…だからっ言ったのに!!
私…烝ともっと仲良くなりたかった
烝と女子同士の話をしたかった
…烝の物、私に下さい!
これ、全部…私が預かります!
烝が、帰ってくるかもしれないもの!」
烝の物、全てに見覚えがあった
散歩したときに着ていた着物
初めて贈った紅
烝愛用の武具
いつもつけていた髪紐を手にした
「美賀子…これだけは、俺にくれないか」
「はい」
なんだか形見分けのようだ
「慶喜様!これも慶喜様が持っていて!」
「なんだ?」
「きっと!へその緒です!」
風呂敷を開き
小さな箱の字を見た
〝山崎喜代〟
誕生の日と烝の名
「山崎って…」
本当に自分だけの子のつもりなのかっ!
「喜代…良い名ですね!」
「俺がつけたのではない…」
「でも…慶喜様の御名前が入っております
慶喜様、烝が辛かったのは、慶喜様を
お慕いしていたからですよ
想えば想うほどに、相手の気持ちがわからぬのは、恐ろしくもあり
寂しくなるものですわ」
我が子の性別、名前を今になって知り
胸がジクリとした
俺は、烝に思われていたなんて
思っていなかった
美賀子の言っていたように
自分の寂しさで、都合よく
そばに置きたかった
もっと
烝と…
勝手だと、我が儘だと言われようとも
夫婦でいたかったんだ