浅葱色の忍
目覚めると

慶喜が顔を覗き込む


「悩み事があるとすぐ体調を崩すのは
昔と変わらぬな」


「慶喜…」


「体調を崩すほど忍が嫌なのか
俺との婚礼が嫌なのか知らんが
俺が気づかなかったら、落ちて怪我をしていたやもしれんぞ?」


「うん ありがとう」


「烝 俺は、烝が幸せならと
身を退いた
そうでないのなら、いつでも戻ってこい」


「ごめん… 戻らない」




慶喜は、悲しそうに笑い

俺の頬を撫でた



「知ってるよ… 烝は、そういう奴だ」



「うん」






きっと、慶喜は俺が体調を崩した理由が
子供の事を思い出したからだと
察している


だから、お子の事には触れない



あの子を亡くした事は、お互いに
深い傷になっている



慶喜とあの子の事を話せる日は
当分きそうにない





あの子の目が、慶喜とそっくりで
顔を合わせることも出来なかった



その時に比べれば、今は良い





「新選組を待たせている送って貰え
まあ、帰る所は、同じなんだろうがな」



「今、非番満喫中」



「どこが?」



「良く寝た!」



「また、どこぞに座って寝てるのか?」






知ってたんだ?




慶喜…



忍の俺に興味ないと思ってた 















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