浅葱色の忍

山崎烝

「山崎さん!!すみません!!!
ずっと見張っていたんですけど
山南副長が居なくなりました!!!」



やはり、頭のええ人や

吉村の見張りに気づいてたんやな




「土方副長に報告する!
吉村は、幹部召集してくれ!」




寒気がした

恐れていたことが起きた



もしも、あのまま慶喜の所にいたら


俺は、同じ事を考えた



勇には、相談出来る状況になくて
副長も自分が責任を持つからと
吉村と俺で交代で見張っていた


俺が勇と話をする

その隙をついた



「手がかりねえか見てこい」


「はい」



山南副長の部屋に入ると

見つけてくれと言わんばかりに

本から紙が飛び出ていた



〝江戸へ〟




そうか…


山南副長は、武士なんや



山南副長の意図がわかってしもた




この紙を見せれば、土方副長もわかるやろ



「総司 大津まででいい
そこまで行っていなければ帰って来い」



ホンマに、優しいお人や…


この言葉には、山南副長に生きて欲しいと
願いを込めてあるんや



「ただいま戻りました」




山南副長は、沖田さんに連れられ
笑顔で帰ってきた



どうしても、切腹したいらしい



その夜は、山南副長を見張るように言われ
天井に潜んだ



伊東 永倉 藤堂 が、脱走を促したが

それを断った


「ひとりにしてください」









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