浅葱色の忍

近藤勇

「どういうこと?」


慶喜様から烝をしばらく貸して欲しいと
書状が届き、伊東君にどう説明しようか


悩んだ挙げ句



「だからね、妹さんが危篤で
しばらく里に帰そうと言っているんだよ」



真面目に言っているのに

伊東君の後ろで、烝は笑いを堪えている

烝には、まだ事情を説明出来ていないが
なんとなく察してくれると助かるのに
面白がっている

おまけに、事情を知っている歳まで
助け船を出さない


完全に嘘だと伊東君は、思っているだろう



「近藤さん!妹が危篤って、大事な仕事している、大の男がわざわざ里に帰る?
本当の理由を言って頂戴よ!!」


伊東君が疑い、苛立ちを言葉にすると
烝がやっと笑うのを辞め話を合わせ始める



「伊東さん すみません
妹が2人いるのですが、2人共生まれつき
とても病弱で…
ひとりは、ご存知の通り島原におります
もうひとりが一橋様の家臣
梅沢孫太郎様のお世話になっております
兄であり、医術の心得のある俺に
声を掛けて下さったのだと存じます」


「ふ~ん そういうこと…
近藤さんたら、隠すことないじゃない!」


「すみません 以前に口止めお願いしていたので、お気を使われたのでしょう
局長 ありがとうございます」


「いや… すまないね
かえってややこしくしたようで…」


「全くだ!近藤さんに口止めなんて
頼むもんじゃねえな!よくわかった!」


歳が、冷ややかに私を見る

さすが烝

落ち着いて、最もらしい理由を言い

簡単に伊東君を納得させた






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