ヤンキーくんに溺愛された臆病ウサギちゃん
「宇佐美。」



静かにこの子の名前を呼ぶと……


「俺はあんたと友達になりたい。」


そう言った



彼女は綺麗なクリアな瞳を見開いている



想定内なことを言われるとでも
思っていたのだろう


そして制服のポケットから
赤い板チョコを取り出し彼女に手渡す



「貧血なんだろ?食えよ。」



それだけ言うと宇佐美から
背を向ける。



保健室の引き戸を手にかけながら振り返った



「悪いけど俺、しつこいよ?
あきらめないから。」



こんな風に言ってしまうと
俺が宇佐美のことを好きみたいに聞こえる。



いや。違う。
好きとかじゃないんだ。多分。



同じ匂いがしたから
気になるだけ。



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