ヤンキーくんに溺愛された臆病ウサギちゃん
話しかけるつもりなんて1ミリもなかった。


ただ、体が勝手に動いた。


「えっ⁉︎」


ウサギがぐりんっと振り返ったのは黒いマフラーを彼女に巻いたから。


ウサギはよく風邪を引くくせに今の格好はすっげぇー、薄着。


ったく、マフラーくらい巻けよ。


「そのマフラーやるよ。」


「あっ!待って……」


ウサギと話す資格は俺にはない。


ウサギにマフラーを巻いたら後ろから聞こえる懐かしい声にも耳を貸さずに俺は歩き出したのだ。
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