ヤンキーくんに溺愛された臆病ウサギちゃん
反則すぎるよ……
あたしのことなんて、滅多に名前で呼ばないくせに。


「真、俺教室戻ってる。」


「歩斗くん⁉︎」


歩斗くんは気を使ったのか真くんに一言、声をかけると保健室の引き戸に手をかけた。


ばちっ


不意にあたしと歩斗くんの目が合う。
そして……


『が・ん・ば・れ』


って、口パクで言ってウィンクされた


がんばれって……


「ん……菜々。」


「真くん、大丈夫?まだしんどそうだよ?」


「ダメかも。」


「もぅっ。あたしになんかマフラー貸すからだよ!」


あたしは怒った口調で言った。


あたしになんか貸してくれなくてもよかったのに。


真くんが倒れるくらいなら……


あたしが風邪をひけばよかった。


「真くん……ごめんなさい。」
< 352 / 385 >

この作品をシェア

pagetop