紅桜の元姫
その女の子は突然やってきた。
わたし達はいつも通り遊んでいた。

「やったー!勝ったー!」

「雫ちゃん強いー!!」
「次は負けねーから。」
「もっかい勝負や!」

「おい、お前ら聞いてくれ。」
倉庫の扉を開けて総長が入ってくる。

「暁人!おかえり!」
笑って駆けつけると
「あぁ、ただいま。」
笑って頭を撫でてくる。

安心するし好きなんだよね、これ。

でも、なにか違和感を感じた。
「暁人、後ろにいる女の子ってだれ?」

ちょうどよかった。って言うように
「こいつは新しく姫になるやつ。」

え?

「暁人、姫はもう1人いるやん。」
「僕は雫ちゃんだけでいいよ。」
朔也、鈴斗…。

「で、暁人はなんでこの子をここに
連れてきたわけ?」

「こいつはな、親もいなくて、虐められているんだ。だから、ここに連れてきた。」

「そんなことがあったんだ。なら、仕方ないよね。」

「雫が言うなら…俺はいいけど。」
「せやな。名前なんて言うん?」
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