イケメン兄の甘い毒にやられてます
…静とのランチは、思いの外、とても楽しかった。

静の知る圭吾の事を色々聞けて、夕陽は満足していた。

そのおかげか、午後の仕事はとても楽しくすることができた。

…でも、気がかりが一つ。

日勤である夕陽の業務が終わると、その気がかりの元へ。

「…優くん」
「…ん?あれ?仕事は終わったんだろ?」

「…うん、終わったんだけどね…優くん」
「…ん?どうした?」

「…私、優くんに何かしたかな?」
「…え?」

夕陽の言葉の意味が理解できないと言った顔の優。

「…今日の優くんはなんだかいつもと違ったから」
「…そう、かな?」

「…うん、絶対そう。何時もなら、過保護なくらい構ってくるのに、今日は全然だから」

「…ぁ」

確かに。今日の優は、夕陽から少し距離を置いてる。

それはなぜなのか?

「…夕陽」
「…何?」

不安そうな夕陽の顔。

無理もない。優と知り合ってからと言うもの、夕陽にとって、優は、戦友で、兄で弟で。友達で。そんな、なくてはならない存在になってた。

だから、拒絶されたら、しばらくは立ち直れないだろう。

「…今度の日曜、休みが合うから、どっか、遊びにいこうか?」

夕陽の不安そうな顔が見ていられなくて、自分の気持ちに蓋をした優は、そんな言葉を投げ掛ける。

すると、夕陽の顔は、みるみる明るい顔に変わる。

「…行く行く!」
「…じゃあ、行きたいところ、考えといて。お疲れ様」

そう言って、夕陽の頭をポンポンとすると、優は仕事に戻っていった。
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