イケメン兄の甘い毒にやられてます
…映画を満喫した後、3人は食事に。

「…夕陽、ソースがついてる」
「…え?…ぁ」

口の端についたソースを、圭吾は人差し指で拭うと、何の迷いもなく、その指を舐めた。

「…圭吾さんも人の事言えませんよ」

クスクス笑いながら、夕陽はハンカチで圭吾のほっぺたを拭いた。

…仲睦まじい二人を、優は、平気な顔して見るのも、そろそろ限界が来ていた。

それでもなんとか、食事も無事に終わり、その日はお開きに。

…と。

帰る前、圭吾が席を外すと。突然優は、夕陽の手首を掴むと、その場から夕陽を連れ去ってしまった。

勿論、そんなことを知らない圭吾は席に戻り、いなくなった二人を急いで探しに行く。

その間、何度も夕陽の携帯を鳴らすも、夕陽は全く反応はない。

「…夕陽、どこに行った?」

こんなに必死になって、夕陽を探す必要はない。

夕陽を信用していれば。

だが、優が映画館で放った言葉が引っかかった。

夕陽と優は、信頼しあう仲だ。

うまく丸め込まれてしまうことだってある。


周囲の目など気にすることなく、圭吾は町中を必死になって探し回った。
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