イケメン兄の甘い毒にやられてます
「…圭吾さん、どうしたんですか?」
訳の分からないといった感じで、夕陽が問いかけた。

「…夕陽をこのまま閉じ込めて、他の男から遠ざけたい」
「…圭吾さん、何言って…?!」

それ以上何も言わせんとばかりに、圭吾は夕陽の唇を奪った。

…数分の出来事。

ようやく離れて、互いの目が合うと、圭吾は自己嫌悪に陥って夕陽の肩に顔を埋めた。

「…圭吾さん?」
「…ゴメン、仕事中なのに」

「…何かあったんですか?」
「…いや、何も…ゴメン、こっちの問題だから」

それ以上何も言わず、圭吾は行こうとする。

相変わらず合点のいかない夕陽は、不安な顔で圭吾の白衣を掴んだ。

圭吾は困ったような笑みを浮かべて、夕陽の頭をくしゃくしゃと撫でた。

「…今夜、夕陽の家にいくから」

そう言い残し、圭吾は先に部屋を出ていった。
< 128 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop